以前投稿した「利益は意図的に出していくもの」に続いて、本日は「損益計算書とは何か」というお話です。
利益は意図的に出すもの、とお伝えしましたが、そのことを表す帳票が本日お話する損益計算書となります。
個人の生活(家計)についてみてみましょう
家計のやりくりをされている中で「今月はマイナスだな、どうしよう」というご経験がある方もいらっしゃることと思います。
マイナス=残るお金がない
皆さんはこんな状況になったらどのように切り抜けますか?
考えられることは
・貯金の切り崩し
・クレジット購入による支払い先延ばし
・滞納(最悪の場合)
などあるかもしれませんね。
(以前、キャッシュフロー経営講座において同じ質問を投げかけたところ、間髪入れずに「キャッシング!!」とお応えになった受講生の方がおりました 😯 )
では少し状況を戻して考えてみます。
なぜお金がなくなるのでしょう、なぜマイナスになってしまうのでしょう。
答えはとても単純です。
入ってくる以上に使っているから、ですよね。
では、こうなる原因にも目を向けてみましょう。
入ってくる以上に使ってしまう、それはどんぶり勘定をしてしまっているからです。
つまり入った以上に使ってはダメだということです。
こんなこと当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、意外とこの“当たり前”ができていない方が多いのが現実です。
貯蓄が上手にできている人というのは、「先取り貯蓄」つまり、まず貯蓄をしてから残ったお金で生活を行うことを徹底しています。
また、普段からどんぶり勘定をせず、貯蓄をする仕組みづくりを上手に行っています。
言い換えると、お金を残すという事を意識的に行っているため、勝手にお金が残っている、というわけではないということです。
このことについては、ライフステーションが個人のお客様向けに行うマネーセミナーでもよくお話しております。
さて、ここまで個人の生活について考えてみましたが、ではこの話を会社に置き換えたらどうなのでしょうか。
会社に置き換えた場合
「今月はマイナスだな、どうしよう」←先ほどと同じ状況ですね。
でも、会社となると話は違ってきませんか?
なぜなら、家計については自己責任で済みますが、会社には従業員やそのご家族、また自分を信じてくれているご自身のご家族、お取引先などたくさんの方が関係しており、その方たちの生活も支えなければならないからです。
「今月はマイナスだな、どうしよう」この状況になったらどうでしょうか。
個人の生活であれば、家計簿をつけたりして普段から管理している方はやりくりも上手ですよね。
会社でこのような状況がわからない状態だったらいかがでしょうか、ぞっとしませんか?
「あれ、いつの間にかお金が減っているぞ!」のような…。
当然、こうなったのには何か問題がある、という事になります。
損益計算書
これを表しているのが「損益計算書」という帳票になります。
P/L※とも呼ばれていますが、銀行の方との折衝の中でもよく出てくる言葉ではないかと思います。
※P/L=profit and loss statement
実は、損益計算書は個人の生活と同じです。
意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんのでこのことについてお話してみます。
会社にはまず売上が入ってきます。
多くの経営者の方は、この売上が“自由に使えるお金”と勘違いしている場合が多いのですが、例えば皆さんの給与明細書を損益計算書に置き換えてみると、
総支給額(給与明細書)=売上(損益計算書)
となります。
個人でいう“自由に使えるお金”はどこでしょうか。
自由に使えるお金 ≠ 総支給額
自由に使えるお金=手取り金額(総支給額 – 社会保険料など)
ですね。
つまり、手取り金額をうまくやりくりしてお金を残せるか残せないかということになります。
会社に置き換えると
自由に使えるお金 ≠ 総支給額(=売上高)ではない、ということになります。
・工事をすると→工事材料の発生や、外注費もかかってきます。
・飲食関係は?→原材料の仕入れもかかります
売上原価というものです。
売上原価とは、売上が発生したら必ず支払わなければいけないお金、です。
このことをしっかりと念頭に入れておく必要があるのです。
まとめ
会社の場合。
自由に使えるお金 = 売上総利益(売上 – 売上原価)となります。
※売上総利益のことをよく「粗利」とも言います。
売上が自由に使えるお金ではなく、売上総利益(粗利)こそが自由に使えるお金である、ということをしっかりと認識しておく必要があります。
損益計算書は必ず売上高から始まり〇〇利益という名前で各利益の記載があります。
本日は損益計算書の〇〇利益の中で、一番最初に出てくる売上総利益についてお話しました。
文:キャッシュフロー経営講座 認定講師 山口 真