新型コロナウイルス感染症の影響で、働き方が大きく変わった現在、在宅勤務に切り替えたりまたは休んだりといった従業員が増えている企業も多いかと思います。
ただ、まだまだ完全に在宅で、というわけにはいかずに、一部の従業員がこれまでと変わらず出社してさらに平時よりも長く働いている、という場合もあるのではないでしょうか。
36協定振り返り
以前ご紹介した36協定についての記事はもうお読みになりましたか?
ここで少し振り返ってみましょう。
法律上、時間外労働の上限は原則として下記の通りで、特別な事情がなければ超えてはいけません。
1日 8時間
1ヶ月 45時間 1年 360時間 |
では次に、特別な事情って?ということになりますが、こちらが今回のテーマである「特別条項」になり、もちろん下記の通り決まっています。
時間外労働が年720時間以内
時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満 時間外労働と休日労働について2~6ヶ月平均80時間以内 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、1年で6ヶ月が限度 |
参照
・厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』
特別条項の運用について
特別条項の運用については、
・通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならない。
・「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められない。
となっています。
では、そもそも新型コロナでは、この「特別条項」は対象となるのでしょうか。
一般的に、今般の新型コロナウイルス感染症の状況というのは、36協定締結当時には想定し得なかったものであると考えられます。
例えば36協定の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」に、繁忙の理由が新型コロナウイルス感染症とするものであることが明記されていなくても、一般的には特別条項の理由として認められるものです。
社会の仕組みが大きく変わろうとしている今、様々なお悩みをお持ちの方が多いと思います。
少しでもご参考になれば、と思います。
文:キャッシュフロー経営講座 認定講師 渡辺 幸信