テレワークに切り替えたり、切り替えようと準備を始められた経営者の皆様、リスク対策は万全ですか?
今回はテレワーク移行に伴うモノやコトなどの情報について解説します。
テレワーク移行に必要なモノ
緊急事態宣言以降テレワークに移行した方は多くいらっしゃると思います。
テレワークや在宅勤務を実現するうえで、社内ポリシーからツールに至るまでソフト・ハード両面において整備すべきものの多さに戸惑っている経営者の方も多いのではないでしょうか。
ITの観点でお話しますと以下の3点があります。
①ノートパソコンやタブレット、あるいは仮想デスクトップ(※1)やリモートデスクトップなど、従業員がデスクワークを行うための【デバイス】
②インターネット接続だけでなく、メールやチャット、ウェブ会議など、従業員や取引先、お客様とのコミュニケーション手段となる【通信】
③データセンターやIaaS(※2)、SaaS(※3)にある業務アプリケーションやシステムなど、従業員が担当業務に必要となる【ビジネスリソース】
以上の3つの確保がまずは必要となってきます。
特に【通信】については、インターネット環境も必要になるため、場合によっては会社側でWi-Fiの通信環境を提供したり、家庭用インターネットの費用を会社が負担するのか、という方針を決めることも視野に入れなければなりません。
【デバイス】についても、標準的にノートパソコンやタブレットが会社から支給されている場合にはそのまま活用できますが、そうでない場合にはテレワーク用に新たに調達、支給するのか、個人所有のデバイスを使わせるのか、といったことも検討の必要があるでしょう。
また、国内の多くの企業や従業員がテレワーク未経験であることが想定されるため、実施に当たっては従業員教育を通じた自立的ワークに関する意識の醸成などの取り組みも検討事項となることでしょう。
サイバー攻撃の危険性
更に、テレワーク移行に伴い急増すると言われているのがサイバー攻撃です。ところが、日本損害保険協会が中小企業経営者らに実施した調査によると、経営課題の優先度でも「サイバーリスクへの対応」は1.6%と、危機意識が薄いのが実情です。
一方で、約2割の中小企業がサイバー攻撃の被害経験があり、そのうち7.4%が1000万円以上1億円未満の金銭的損害を受けているという調査結果もあるのです。
(参考)
https://www.sonpo.or.jp/news/release/2019/2001_02.html 一般社団法人日本損害保険協会 「中小企業の経営者のサイバーリスク意識調査2019」 |
サイバー攻撃から会社を守るには
そこでにわかに注目を浴びているのが、【サイバー保険】です。サイバー保険とは、サイバー攻撃などの不正アクセスによる「個人情報の流出」や「業務妨害」などに備えるための保険のことで、「サイバーセキュリティ保険」、「サイバーリスク保険」とも言います。
テレワーク勤務者が私有端末の業務利用(BYOD)で、会社のシステムに不正アクセスを受けた場合も補償対象になる、という保険もありますのでテレワークの推進にも安心です。
現在、東京海上日動火災保険に、中堅・中小企業向けサイバー対策情報の専門サイトが開設されています。
現在自社のテレワーク環境においてどのようなリスクが存在するのか、またその対処方法、万が一サイバー攻撃を受けた場合に想定される被害額などを知ることもできます。
是非ご活用ください。
【東京海上 Tokio Cyber Port】
https://tokiocyberport.tokiomarine-nichido.co.jp/cybersecurity/s |
用語の説明
※1 仮想デスクトップ
通常ひとつしかないPCのデスクトップを仮想環境の中で複数作成できる機能。この機能を使えばアプリやウィンドウを切り替えたり、削除したりする必要はなく、デスクトップ画面そのものを切り替えながら作業できる。
※2 IaaS
「Infrastructure as a Service(サービスとしてのインフラ)」の略。
情報システムの稼働に必要な仮想サーバやハードディスクなどのインフラを、インターネット上のサービスとして提供する形態
※3 SaaS
「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略。
クラウドで提供されるソフトウェア(Gmailなどのメールサービス等)
文:キャッシュフロー経営講座 認定講師 渡辺 幸信