今回は先週に引き続き、企業がコスト削減を行うにあたり、気を付けたいポイントについてお送りいたします。
https://cashflow-ac.com/コスト削減において大切なポイント%e3%80%80vol-1/
7.コスト削減の2つの手法
まずコストを削減するには、【単価】と【量】のそれぞれに着目し、分解して考える必要があります。
コスト=【単価】×【量】
その上で2つの手法を考えた場合、下記の通りとなります。
【単価】=サプライヤーマネジメント
→取引先(発注先)をマネジメントする
【 量 】=ユーザーマネジメント
→社員をマネジメントする
この2つのうち、即効性があるのは、サプライヤーマネジメントとなります。
8.サプライヤーマネジメントのポイント
即効性のあるサプライヤーマネジメントですが、気を付けなければならないポイントがあります。
まず、スペック・仕様を落とさない、ということです。
単価はスペック・仕様によって決まっています。スペックや仕様を落とすと、社員や顧客に影響を与えてしまう可能性があるので十分に気を付けたいことになります。
サプライヤーマネジメントで必要なことは次の通りです。
①適正コスト(単価)の判断
⇓
②既存サプライヤーとの交渉
⇓
③新たなサプライヤーの選定
9.取引単価のギャップがあることを知る
下表は弊社顧問先支援実績から抽出した事例の一つですが、一般的に大企業と小規模事業者との間では、様々な商品・サービスの調達水準に大きなギャップがあることをご存知でしょうか。
■大企業・小規模事業者間の取引水準のギャップ(具体例)
※当社グループ企業支援実績に基づき記載しております
大企業A | 小規模事業者B | |
【例1】アスクル | カタログ価格の8%引き | カタログ価格での購入(割引なし) |
【例2】有線放送 | 月額2,000円 | 月額4,000円 |
【例3】コピー代 | カラー 9.0円/枚 白黒0.9円/枚 | カラー 20.5円/枚 白黒2.0円/枚 |
【例4】ガソリン代 | 店頭価格から5円引き | 店頭価格(割引なし) |
【例5】マット・モップレンタル | 定価の60%引き | 定価の20%引き |
このように、スケールのある大企業とそうでない中小企業との取引水準には大きなギャップがあることがおわかりいただけると思います。
ただし、単にスケールだけの問題ではなく、以下のようなギャップ理由があることもご認識いただければと思います。
10.中小事業者が大企業並みの取引水準を実現するには?
11.まとめ
弊社グループ企業では、これまで大小さまざま、そして数百を超える企業経営者様からコスト適正化業務を受託してきております。
その過程で、同じ商品やサービスであっても大企業と中小事業者とでは調達単価に大きな開きがあることを目の当たりにし、その要因が概ね次の2点に集約されていることを把握するに至りました。
【価格調査・交渉力の格差】
大企業はコスト削減活動に相応の時間を確保できる社員が多くいるのに対し、中小事業者はほとんどいません。
そのため、中小企業は大企業に比べ、価格調査や取引先との交渉に割ける時間が圧倒的に少なくなります。
【数の力】
大企業の調達ボリュームは販売者側からみると大変魅力的です。
「何としても受注したい」という理由で、思い切ったプライスを提示するのに対し、ボリュームの少ない中小事業者には自社の利益を優先したプライスを提示しがちです。
大企業と中小事業者の調達格差の要因が上記2点の差であるならば、それさえ解消すれば中小企業も大企業並みの調達条件を実現することが可能ではないでしょうか。
そうだとすれば、大企業の様々なコストを把握し、削減してきた弊社の「価格調査・交渉力」と、理念を共にする多くの中小事業者の「数の力」を融合すれば、大企業と同等の競争力ある調達が実現できるのではないかという思いで、当社はCIP(コスト・イノベーション・パートナー)という制度を推進しております。
多くの中小企業にCIPにご登録いただき、大きな購買力を獲得し、ご賛同いただける皆さんのビジネスの成功に役立ちたいと切に願っております。
文:キャッシュフロー経営講座 認定講師 山口 真