いま日本の中小企業の7割以上が赤字という統計があります。
参考
国税庁が2014年3月に発表した「平成24年度分法人企業の実態」で、赤字法人は調査法人全体(約254万社)の70.3%となっている |
また、企業の10年後の生存率は10%以下ともいわれています。
どうして10%しか残らないの?
という疑問が投げ掛けられたところ、
《資金不足》もしくは《能力不足》が原因であろう
と意見が分かれました。
答えは、ずばり《能力不足》だと言われているのです。
誰の能力不足?
それでは、いったい誰の能力不足でしょうか?
従業員?チームや組織の能力?
これは、もちろん経営者の能力不足です。
直接の原因は資金不足と考えられますが、能力に例えれば、それはどんなものを指すのでしょうか。
- 売れる商品を開発できなかった《能力不足》
- 売れる商品を売り上げに繋げられなかった、セールスに関しての《能力不足》
- またはマーケティングについての《能力不足》
これらのほかにも、能力がないから人を育てることができない、新しく人を採用することができない、または採用できてもすぐ辞められてしまう。ということもあります。
そのことで会社のマネジメント・オペレーションなどが滞り、生産性の悪い状況に陥ってしまうということになってしまいます。原因はやはり、多岐にわたる能力不足なのです。
経営者の皆様に「なぜ独立したのですか?」とお尋ねすると、
物を販売する営業力は誰にも負けないから物販会社を立ち上げた!
車に関する知識は誰にも負けないので車販売会社を立ち上げた!
など、独立する経営者の殆どが最初は皆、常識や何かの知識が秀でた職人なのです。
わが身を振り返っても、前職でお客様がいたから「独立してもなんとかなる!」という漠然とした自信だけで独立を決めました。
しかし、年数が経ってきて売り上げも増えてくると、従業員や取引先も増える、物を創って納品して集金するだけではダメ、法律や労務管理、銀行との付き合いや許認可、納税など、蓋を開けてみたらやることが山積しており職人としての技術だけでは経営はできなくなってくるのです。
つまり、
経営を行うことと商いを行うことは全く違うスキルと必要とする ということなのです。
しかし、多くの会社の経営者が、職人としての技術として経営を保とうとしています。
その結果、トップダウンによるボス型経営を継続し、社長も歯車の一つとして現場に赴く、一体誰が経営者なの?という状況になってしまっている会社が非常に多いのが事実なのです。
必要な能力は、計数管理能力
我々は、社長に必要な能力の一つとして【計数管理能力】をあげています。
- 会社は正しい方向に向かっていますか?
- 例えば広告をうって売り上げを上げようと思っても、何をもって成功といえますか?
- 様々なひらめきやアイディアにより会社の戦略を打ってみても、それが実際にうまくいったのかということをどのように判断しますか?
皆さんも健康診断をうけていらっしゃると思います。
何か指摘されていることはありますか?なぜ、良いか悪いか判断ができるのでしょうか。
恐らく、基準とする数値があるからではないかと思います。では、その数値が見えなかったとしたら、良いか悪いかの判断はどのように行うのでしょうか。
人は、定期的に健康診断を受け、数値化して確認をすることで健康かどうかの判断ができるわけですし、その結果を受けてその数値を正常にしたい、健康になりたい、と次のアクションへ移ることができるのではないでしょうか。
では、会社はどうですか?
自分の会社はどうなのでしょうか?健康にしていきたいですか?・・・それとも不健康でよいのでしょうか?
もちろん、健康になりたいですよね!
繰り返しになりますが、我々は【計数管理能力】を経営者の皆様に身につけていただきたいと考えています。
税理士に任せている、経理に任せているから大丈夫、と仰る社長によくお会いしますが、それでは会社をどのような方向に導いていくのかはわからないと思うのです。
計数管理能力とは、領収書を1枚1枚チェックするとか、請求書の整理をする、といったことではありません。
数字を見て会社の方向付けをする。
社長ご自身がどちらへ向かうのかの舵取りをし、判断を行うために必要な能力であり、結果に対する裏の真実を知るための能力と言って良いと思います。
これこそ経営者にとって必要不可欠な能力と言えるのではないでしょうか。
文:キャッシュフロー経営講座 認定講師 山口 真
つづく