中小企業白書 2021年度版から読み解く 財務

皆様こんにちは。

キャッシュフロー経営推進全国会認定講師の渡辺です。

先日のメルマガで『企業の安定性指標となる安全性分析の把握は、経営者として必要不可欠です』と題して

長期的な安全性をはかる指標【自己資本比率(株主資本比率)】について解説をいたしました。

また、『経営者は なぜ会社を成長させないといけないのか』のメルマガで

経営者がいつか会社と袂を分かつときに、会社の価値=純資産を上げておくことの

重要性をご理解いただけたのではないかと思います。

本日のメルマガでは、その重要性について、先般公開されました

“中小企業白書 2021年度版”のデータに基づいてみていきたいと思います。

①企業の資金調達構造

企業の資金調達構造がどのように変化しているのかについて、

貸借対照表の「負債・純資産の部」から確認してみましょう。

企業規模別に1社当たりの総資産の金額と、総資産に占める自己資本の割合(自己資本比率)

及び借入金の割合(借入金依存度)の推移についてのデータを見てみると、以下の通り

小規模企業の自己資本比率は中規模企業と比較すると低い水準にあります。

中規模企業の自己資本比率

2019年度時点 42.8%(大企業の44.8%とほぼ同水準)

小規模企業の自己資本比率

2019年度時点 17.1%

注目したいのは借入金依存度が次のとおり、自己資本比率に相対する形で推移している点です。

中規模企業の借入金依存度

2019年度時点 34.0%(大企業の30.8%とほぼ同水準)

小規模企業の借入金依存度

2019年度時点 60.1%

※小規模企業の定義

 製造業その他   従業員20名以下

 商業・サービス業 従業員5名以下

このデータを見ると中規模企業では、過去20年にわたり借入金への依存度を下げて、

財務面の安全性の改善を遂げてきたことが分かります。

では、自己資本比率が上昇している要因を確認してみましょう。

自己資本比率上昇の要因

自己資本比率は、企業の中長期的な財務の安全性を示します

キャッシュフロー経営推進全国会では、自己資本比率の推奨値を30%と定義していますが、

自己資本比率が著しく低い場合には、例えば借り入れが過剰であるとして金融機関から融資を

受けづらくなるなど、その財務基盤の弱さが経営課題となります。

自己資本比率上昇の要因を、利益の蓄積によって変動する「利益剰余金」と、

株式発行などによって変動する「資本金」「資本剰余金」を含むその他の項目(「資本金等」)に

分けて確認してみると、中規模企業では利益剰余金が占める割合が高く、特に2000年代以降、

利益の蓄積によって自己資本比率を改善させてきたことが分かります。

一方、小規模企業では、2000年代までは利益剰余金の割合が少なく、マイナスに転じた年もあるのです。

2010年代に入ると、利益剰余金の割合が大きく増加しており、自己資本比率の上昇につながっています。

ここまで資金調達の構造について見てきましたが、では次に収益の構造がどのように

変化しているのかを確認してみましょう。

②企業の収益構造

小規模企業における自己資本比率の上昇は、前述のように利益の蓄積との関係性が深い

考えられます。

これを踏まえて、企業規模別に1社当たりの売上高及び経常利益の推移について確認してみましょう。

中規模企業では2000年代から、小規模企業では2010年代から経常利益が増加しています。

また、売上高は横ばい基調の中で売上高経常利益率が改善しており、中小企業が

収益力を高めていることからも自己資本比率の上昇と経常利益の上昇は相関関係にあることが分かります。

まとめ

自社の財務の安全性・収益性の状況を正しく知る上では、資金繰りや財務指標について

把握できていることが前提となります。

株式会社東京商工リサーチが「令和2年度中小企業の財務基盤及び事業承継の動向に関する調査に係る委託事業」

において実施した、中小企業を対象とした「中小企業の財務・経営及び事業承継に関するアンケート」によると、

業績や資金繰りの先行きについて誰が主体的に管理しているかという質問に対して、

「経営層」「社内の担当者」と回答した企業の割合が最も高く、

「経営層」「社内の担当者」が業績や資金繰りの管理をしている企業が、

今後の業績・資金繰りの予測について社内で共有できているかという問いについても

「十分できている」「ある程度できている」と回答した企業が約7割となっています。

財務基盤が弱い状態が続くことは、繰り返し訪れる事業環境の変化を乗り越える上で課題となり得ます。

財務の安全性や収益性の水準を向上させるには、自社の財務基盤や収益構造が

どのような状態にあるのか、現状把握しておくことがまずは重要だといえます。

更に業績や資金繰り予測の社内での共有状況別に財務面で感じている課題についての

アンケートでは、社内での共有が十分できている企業では、「特にない」と

回答した企業が比較的高く約4割となっています。

一方、共有ができていない企業は「固定費が高い」「借入金が多い」「売上高が低い」

などと回答した企業の割合が高くなっています。

企業が安全性や収益性の水準を向上させるためには、財務状況の現状を経営者が

把握しておくこと、そしてそれを社内で共有する仕組みを作ることが重要であるということが、

過去のデータ実績からもみることができるのではないでしょうか。

ライフステーションではキャッシュフロー経営講座でまずは財務を学んでいただき

その後社内研修を行うことで社内で数字を共有する方法まで学ぶことができます。

さらに、収益改善のため具体的な行動に落とし込むことができるパワーアップ会議

企業様をサポートしています。

まずはキャッシュフロー経営講座で財務を学ぶ機会を得ていただきたいと思っております。

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