皆様こんにちは。
キャッシュフロー経営推進全国会認定講師の渡辺です。
私たちが街で目にする多くのコンビニや飲食店などのフランチャイズについて本日は書いてみたいと思います。
それぞれの損益計算書を見ると、ビジネスモデルや利益構造が全く違うことがよくわかります。
そこで、代表的な企業の損益計算書(PL)を見ながら、その違いについて考えてみます。
フランチャイズとは
そもそも「フランチャイズ」とは何でしょう。
本部と呼ばれる「フランチャイザー」と加盟店である「フランチャイジー」が契約を結び、加盟金(ロイヤリティ)を支払うことで商標の使用権や商品・サービスの販売権を得られるシステムのことです。
加盟店は、本部が培ってきた経営のノウハウを活用できるため、個人事業や法人設立にチャレンジするよりも障壁が低く安心感があり、短期間で独立開業に踏み出すことができます。
フランチャイズ市場は下表のとおり、2020年は新型コロナの影響を大きく受け市場全体の売上高は下がりましたが、一方で2019年までは市場規模が飛躍的に伸びており、売上高26兆6千億を超える巨大市場となっています。
とは言え、当然ながらフランチャイズに加盟さえすれば成功するというわけではありません。
一言で「フランチャイズ」と言っても、ビジネスモデルは様々です。
例えば、フランチャイズチェーンの中には「直営店」と「フランチャイズ店」があります。
両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
直営店とはフランチャイズ事業本部が直接運営している店舗のことです。
自社の従業員が店長や店員を勤め、自社の資金で運営します。当然フランチャイズ契約も結びません。
例を挙げると、ドトールコーヒーはフランチャイズ展開をしていますが、カフェ・ベローチェはフランチャイズ展開ではなくレギュラーチェーン展開と言えます。
損益計算書の比較
では実際に代表的なフランチャイズ企業3社の損益計算書を見てみましょう。
「コメダ珈琲」「セブンイレブン」「串カツ田中」の3社です。
各社売上高を100%とした場合に売上原価、販管費、営業利益が何%占めているのか確認してみてください。
このように売上原価、販管費、営業利益の比率は3社それぞれ全く違うことがわかります。
なぜ同じフランチャイズ事業で損益計算書が全く違うのか、解説をしていきたいと思います。
「コメダHD」
この表だけではわかりませんが、売上の内訳が実は大半が卸売収入となっています。これはどういうことなのでしょうか。
コメダHDの売上を分解すると、約7割を卸売が占めています。
フランチャイズ店にコーヒー豆を卸売して売上が立っているのです。
そのため、コーヒー豆はHD本体の売上原価に計上され、結果として売上原価が多くなる構造になっています。
逆にフランチャイズ店に対して安定して卸しているため、販管費は低く抑えることができているというわけです。
「セブンイレブン」
セブンイレブンの売上の内訳です。収益の大半はフランチャイズ収入になっています。
セブンイレブンの損益計算書の売上原価は直営店の原価しか計上されないため、利益率が非常に高く表示される傾向があります。
また、フランチャイズが中心のため、売上の87.5%がフランチャイズ収入となります。
フランチャイズ収入には各フランチャイズ店で売上原価が差し引かれた額が計上されるため、セブンイレブン本体には売上原価が発生せず、収入に対して売上原価が少なくなります。
「串カツ田中」
串カツ田中はFCもありますが、メインの収入は我々利用者からのToCビジネスです。
そのため多くの飲食店と同じような損益計算書の形になります。
串カツ田中総会なるものを全直営店、FC店の運営スタッフを含めた全社員での目標共有の場を設定していることから、FC店であっても直営店と同じように運営していることが特徴と言えそうです。
まとめ
さて、3社の損益計算書からビジネスモデルや利益構造を見てみましたがいかがでしたでしょうか。
外から見ていると違いを感じることはないですが、このように決算書を見ると違いが明らかです。
フランチャイズに加盟することを検討している方は、まずはその会社が公表している決算書からビジネスモデルを把握することもよいかもしれませんね。
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数字に詳しくなる必要はありません。
見るべきポイントを知り、ご自身の、また、ご自身の会社の現在の立ち位置を把握し、今後の経営に生かしていくことが何よりも大切です。